下肢静脈瘤について
TOP > 下肢静脈瘤について > 2.下肢静脈瘤について
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は足の血管の病気です。下肢とは足のことで、静脈瘤は血管(静脈)が文字どおりコブ(瘤)のようにふくらんだ状態のことをいいます。

下肢静脈瘤は良性の病気ですので急に悪化したり命の危険はありませんので安心して下さい。しかし、足のだるさや、むくみなどの症状が慢性的におこり生活の質(QOL)を低下させます。

まれに湿疹ができたり、皮膚が破れる潰瘍(かいよう)ができ重症になることがあります。このような方は、できるだけ早く専門の病院を受診されることをお勧めいたします。
下肢静脈瘤の症状はほとんどがふくらはぎにおこります。足に血液がたまることによっておこるので、午後から夕方に症状が強くなるのが特徴です。

しかし、足の症状は変形性膝関節症や脊柱管狭窄症など他の病気でもおこるので、心配な方は専門医を受診してください。
下肢静脈瘤は、40歳以上の女性に多く認められ、年齢とともに増加していきます。

日本人では15歳以上の男女の43%、30歳以上では62%もの人に静脈瘤が認められたとの報告もあります[※1]

最近(2005年)の40歳以上を対象とした調査[※2]では、全体で8.6%(男性3.8%、女性11.3%)に認められ、患者数は1000万人以上と推定されます。

また、出産経験のある女性の2人に1人、約半数の方が発症するというデータ[※3]もあり、下肢静脈瘤はまだまだ認知はされていませんが、実は身近な病気なのです。
※1 平井正文,久保田仁,川村陽一他 脈管学28:415-420,1989
※2 小西ら 2005年 西予地区コホート研究(愛媛県西部の1市5町の40歳以上の住民を対象として愛媛大学公衆衛生学教室 小西正光教授によって2002年から勧められている調査)脳卒中および心筋梗塞既往者を除外した9,123人(男性3,302人、女性5,821人、平均年齢62.4歳)における「下肢表面が盛り上がって蛇行している血管で、かつ起立すると目立つもの」と定義された静脈瘤(表在性静脈瘤:伏在、側枝、網目の一部と考えられる)の出現頻度です。
※3 平井正文, 牧篤彦, 早川直和: 妊娠と静脈瘤 静脈学:255-261,1997
下肢静脈瘤は女性に多く、歳を重ねるほど増えていきます。

遺伝性があり、両親とも下肢静脈瘤の場合には将来的にはその子供も90%発症するというデータもあります[※4]

妊娠時にはホルモンの影響により静脈が柔らかくなって弁が壊れやすくなるため発症しやすくなります。

立ち仕事、特に1ヶ所に立ってあまり動かない仕事(調理師・美容師・販売員など)は発症しやすく、特に1日10時間以上立っている人は重症化しやすい傾向にあるので注意が必要です。

また、肥満や便秘なども下肢静脈瘤を悪化させる因子です。
※4 Gundersen J, Hauge M. Hereditary factors in venous insufficiency. Angiology.  20:346-55,1969<
下肢静脈瘤は目で見た太さによって伏在型(ふくざいがた)・側枝型(そくしがた)・網目状・くもの巣状の4種類に分類されます。

一般的に症状があり、手術が必要になるのは伏在型静脈瘤だけであり、他の3種類は軽症であまり心配のない静脈瘤です。
伏在型静脈瘤は、表在静脈で最も太い伏在静脈の弁不全によっておこる静脈瘤です。大伏在静脈瘤と小伏在静脈瘤の2種類があります。

ボコボコと大きい静脈瘤が目立ったり、足のだるさやむくみなどの症状がおこり、重症化して手術が必要になることがあります。

大伏在静脈瘤は最も多いタイプで、足のつけ根の静脈弁が壊れておこり、膝の内側に静脈瘤が目立ちます。

小伏在静脈瘤は比較的少なく、膝の後ろ側の静脈弁が壊れておこり、ふくらはぎに静脈瘤が目立ちます。
くもの巣状・網目状静脈瘤は、中高年の女性の太ももの外側や膝の内側やくるぶしによく見られます。

これらの静脈瘤は、「瘤(コブ)」と書きますが、細い静脈なのでコブ状ではありません。通常、症状はなく、また重症化しないので基本的には治療の必要のない静脈瘤です。

しかし、外見が気になる方の場合は、硬化療法や体外からのレーザー治療(保険適用外)で治療を行うこともあります。
下肢静脈瘤は命にかかわる病気ではありませんが、放置しておいて自然に改善することはなく、時間の経過とともに徐々に悪化していきます。

しかし、一生涯悪くなり続けるわけではなく、60歳前後をピークにその後はあまり悪化しなくなります。したがって、高齢の方はあまり心配ありませんが、40-50歳の方は早めに医療機関を受診しましょう。

重症化すると湿疹や脂肪皮膚硬化症などの「うっ滞性皮膚炎」を合併します。さらに悪化すると「潰瘍」になってしまいます。

うっ滞性皮膚炎や潰瘍を合併しても治療をすることはできますが、回復が長引いたり、皮膚炎の跡が残ったりしますので、できればうっ滞性皮膚炎をおこす前に治療を受けた方がよいでしょう。
下肢静脈瘤は血栓が血流に乗って脳梗塞や心筋梗塞をおこしたり、足を切断することになったりはしません。

治療が必要な場合は、うっ滞性皮膚炎がおこっている場合か、静脈瘤による症状があってつらい場合、あるいはご本人が外見が気になる場合の3つです。

高齢の方で症状がなく、見た目が気にならない場合は特に治療の必要はなく、弾性ストッキングを履く必要もありませんが、症状があるなど、気になる場合には専門の医療機関を受診しましょう。

あわてて受診する必要はありませんので、心配な場合は信頼できる医療機関を受診して下さい。
下肢静脈瘤の代表的な症状の1つに足の「むくみ(浮腫)」があります。

むくみとは、皮膚の下の皮下脂肪に余分な水分がたまった状態です。日常生活では靴下の跡が残ったり、夕方にブーツが履きにくくなることで気がつきます。
むくみは、すねの骨の上を指で5秒程度強く押して、凹んだままもとに戻らない状態であれば、むくみであると診断できます。
むくみの原因の多くは生活習慣や加齢など生理的なものですが、一部は下肢静脈瘤や他の病気でおこります。

むくみが急におこった場合、朝起きてもむくんだままの場合や手や足もむくむ場合は全身的な病気による可能性があるので放置せずに必ず医療機関を受診しましょう。